2023/09/13
「おっす!オレ様ガッツ。」
「小耳に挟んだんだが、蕨川のやつが猫カフェってところに行ってきたらしい。
足が短い子、イケメンな子、可愛い子、色々いてすごく楽しかったらしい。
『癒された』って言ってた。
ここに来ればオレ様がいるのに、お金を払って行くなんてバカな奴だ!」
「ん?でも、待てよ、本当は『癒され不足』だったのか?
いや、でも、オレ様は知っている。
ほぼ毎日、オレ様と喧嘩しながらする歯磨きも蕨川にとっては楽しいはずだ!
オレ様がご飯を食べている時も、寝ている時も、ただ座っているだけでも
蕨川にとっては『癒し』になっているはずだ!
その証拠に、オレ様を抱っこしてくれるし、頭を撫でてくれる、話しかけてくれる。
こんなオレ様を毎日毎日、蕨川は「可愛い」と言ってくれる。
ちょっと、いや、だいぶ鬱陶しいときも多々あるんだが、ただいるだけでいいらしい。」
「オレの性格上、手荒くはなってしまうが、
仕方ないから、これからもオレ様なりの『癒し』ってやつを提供してやるよ!」
「ところで今オレは、全集中して父ちゃんが迎えに来るのを待ってる。
『どこにいるの?』って聞かれたけど、ここは手術室。歯磨きが終われば
だいたいここに居て、静かに一人息を潜め、父ちゃんの声が掛かるのを待っている。
『がっちゅーーー』って呼ばれたら、1,2,3で
一気に父ちゃんの元へダッシュだ!そして、オレは家に帰るのさ!」
「ここを選んだ理由?
それはただ一つ。蕨川に捕まらないため。あいつに捕まったら、
ろくなことが起きないからな。ここにいれば、すぐ逃げられる。
時には、ここの奥のレントゲン室にいることもある。
レントゲン室にいるときは、父ちゃんの声が聞こえづらいから、少し反応が遅くなるんだ。
だから、ここがオレ様的にはベストだと思っている。」
「おっ!そろそろ父ちゃんが一階に降りてくる時間だ。
オレは今日もここで待つ。
さぁ!父ちゃん!オレはいつでも帰る準備はOKだ!
早くオレの名を呼んでくれーーー!!!!!」